A7075（超々ジュラルミン）シャフトの切削加工事例

A7075（超々ジュラルミン）の高精度シャフト

加工ポイント

製品概要

アルミの中では強度が高いA7075（超々ジュラルミン）を当社の技術で精密加工したシャフトです。他社では難しい真円度0.005mm、同軸度0.01mmという超高精度を実現しています。
旋盤加工とフライス加工を行い、最後に穴加工を行っています。
A7075は航空宇宙グレードの素材ですが、当社では加工実績が豊富にございます。

A7075とは？超々ジュラルミンの特性

A7075は卓越した強度と軽量性を兼ね備えた、アルミを主成分とする素材です。
アルミはボーキサイトを原料として高温度で電気分解して作られ、Cu(銅)に次いで熱、電気が通りやすい良導体です。
A7075は、アルミニウムにZn(亜鉛)、Mg(マグネシウム)、Cu(銅)を添加した超高強度アルミニウム合金です。アルミニウム合金の中で最高クラスの強度を誇り、以下の特性を備えています。

比重2.7：鉄やステンレスの約1/3の軽量性
引張強さ約570MPa以上：鉄やステンレスなど一部の鋼材に匹敵する高強度
優れた熱・電気伝導性：銅に次ぐ良導体としての性能

この特性バランスにより、航空宇宙産業からハイエンドスポーツ用品まで、最高水準の性能が求められる用途に広く採用されています。

難削材A7075の加工技術

A7075は優れた特性を持つ反面、以下の技術的課題があります。

難削材としての特性：切削時の「溶着」現象が発生しやすく、一般的な加工条件では精密加工が困難
溶接性の課題：割れが発生しやすく、接合に高度な技術が必要
耐食性の考慮：含有する銅成分により、耐食性が他のアルミに比べ低い（アルマイト処理で防錆力を上げることは可能）
コストの課題：材料コストが高い

上記の内、小野製作所では主に切削面の課題を解決することが可能です。
A7075は一般的なアルミニウム合金と比較して切削性が劣りますが、

最適な切削条件の設定：材料特性に合わせた回転数、送り速度の最適化
専用工具の選定と活用：A7075の加工に特化した刃物の選定
熟練技術者による加工：長年の経験と知識に基づく高度な技術判断

といった技術的アプローチにより、A7075の優れた特性を最大限に活かした高精度部品を製作することができます。

旋盤加工・フライス加工について

今回の製品は旋盤加工・フライス加工も行っております。

どちらも材料を削る点で同じ切削加工、また除去加工と言われる加工方法ですが、
旋盤加工は丸い形状の材料を刃物で削り形にしていく加工方法で、
フライス加工は主に四角い形状の材料を刃物で削り形にしていく加工方法です。
A7075の切削加工については「溶着」という削った切粉が刃物へ付いてしまう現象が起きる傾向があり、加工性が悪く、難削材といわれおります。しかし、適切な切削条件、適切な刃物選定をすれば解決できます。また切削液などの種類によっても加工性が変わります。